みなさんは、「死」というものを受け入れることができますか?

生まれ、泣き、笑い、食し、成長する。そして人生を歩み、年老いる。

これは、生有る物すべてに通ずる物があると思います。

その中で、死ぬということもまた、共通する物だと思います。

では、死ぬときにどう死ぬのか。

どう年を老い、いかにして死ぬ。

それを、自分なりに見つめ、考え、家族と話し合い、想像し、準備をする。

それが終活だと思います。

終活を考えるということは、生きるということを考えることにも繋がります。

どう死ぬのか、ではどう生きるのか。

 

ここでは、終活をいろんな角度から、考えていきたいと思います。

一緒に終活を考えていきましょう。

 

終活を始めようと思うのは、いろんな恐怖や不安や心配があるからではないでしょうか。

死を迎える事への恐怖、このまま死んだらどうなるのかの不安、遺されたものへの心配。

だから生きている今、自分が出来ることを行動に移し、準備し、伝えることが必要だと思います。

①死を迎える恐怖

死は誰にも平等にやってきます。それは誰もが頭ではわかっていることです。

しかし、身近に死んだ経験がある人が死ぬときの苦しさや、状況、心情を教えてくれたことはありません。

今、生きている人はみんな「死ぬこと」という事実をわかっていない。だから恐怖を覚えるのだと思います。

人は、事故や病気あるいは自殺などがないかぎり、寿命と言われるもののなかで生きていて、1秒1秒寿命を全うしています。そして、1秒1秒身体がサインを出しているのだと思います。

②身体の衰え

頭や身体は寿命が近づくにつれ機能が低下していきます。視力の低下、聴力の低下、腕力の低下、脚力の低下、内蔵機能の低下、言い出したらきりが無いほどです。少しずつ一人で出来ることが減っていきます。それとともに人は、諦めが増えていきます。

人は、その事実を受け入れきれない人が多いです。だから、悲観的になったり、みじめになったり、愚痴っぽくなったり、いろんな心理状況がでます。

このような状態の変化を自分自身、あるいは家族として受け入れることが出来るのか準備が必要ではないでしょうか。

身体の衰えが始まり、これまで自分で出来ていたことが減っていくと、第3者の手が、助けが、介護が必要になっていきます。そこで介護が必要になり利用するようになるのが介護保険制度です。

介護保険制度の内容を元気な時から理解しておくようにしましょう。

介護保険を利用する為の流れを少しだけ簡単にご説明したいと思います。

【申請】

市区町村の担当部署で介護保険認定を申請します。地域包括支援センターなどで代行してもらう事もできます。

【訪問調査】

市区町村の職員が自宅や病院などを訪問し、ご本人の心身の状況などについて調査を行います。

流れとしては、主治医意見書を依頼する。一次審査(コンピューターによる分析)。介護認定審査会という感じです。

【認定通知】

認定結果通知書と、認定結果が記載された介護保険証が被保険者の自宅に送付されます。

もちろん認定結果に不服がある場合は、申請し市区町村や事業所に相談することも出来ます。

【ケアプラン作成】

担当になるケアマネジャーが自宅を訪問し、ご本人の心身の状態を確認を行い、ご本人やご家族の要望を伺い、その方に一番合った介護支援の提案を行います。

このような流れを経て、介護保険制度で利用できる施設やリハビリ、福祉用具や、ヘルパーを利用できるようになります。

今の自分の状態では、このようなことができない、だったらそれが自分で出来るようになるためにリハビリを頑張ろう。あるいは、お風呂に入る際に転倒しないように手すりをつけたい。または、自分では掃除ができない、だからヘルパーに手を借り一緒にやろう。

このような形で、今の自分の生活を維持させていき、身体の衰えから目をそらさず、それを受け止め、いきいきと生活していくのも終活の一つではないでしょうか。

③脳の衰え

高齢になってくると、考える・覚える・覚えておく・判断するなど、もちろん他にもありますが脳の機能が衰えてきます。

身体の衰えと違って脳の機能は自覚症状がわかりにくいのが特徴でしょうか。しかし、「最近物忘れがひどくなって」と、自分でもわかりやすい自覚症状を口にされている方も多いはずです。

自分自身の考える能力や、判断能力が衰えた場合、自分の身の回りのことや財産は守られるのでしょうか。

自分では守ることができないとなった場合、家族はしっかり守ってくれるのでしょうか。

家族が守ってくれると自信がある方はよいのですが、家族に任せるのは不安だ、自分が家族同士のもめ事の原因になるのは嫌だという方もいるはずです。

また、家族がいないから誰に任せたらよいのかわからないという方も最近では多いのではないでしょうか。

そこで、利用できる制度が成年後見制度です。 

成年後見制度は、病気や障害により判断能力の低下がみられる方の、権利・財産を守るための制度です。

その成年後見制度には、「法定後見制度」と「任意後見制度」の二つがあります。

「法定後見制度」は、すでに判断能力が低下された方を保護・援助する制度です。

家庭裁判所に申し立てます。判断能力の程度により、成年後見・保佐人・補助人が選任されます。

「任意後見制度」は本人が将来の判断能力の低下に備え、あらかじめ任意後見人を決めておく制度です。

公証人役場で公正証書を作ります。

この二つの違いは、後見人の選任が、本人の判断能力が低下した以後か低下する以前か、ということです。

このような制度を利用し、自分自身の判断能力が低下したときにも安心であると思える様に、備えておく必要があると思います。

④遺す方法

よく、あの世にはびた一文持って行くことは出来ないといいますが、死を迎えると、本当に何一つあの世には持って行くことはできません。

形有る物全てはこの世に遺すことになります。それでは、遺していく物はどうなるのでしょうか?

もちろん遺される家族がいると、その家族が引き継ぐことになります。あまりいい話ではありませんが、その家族にとっては、遺していてくれて喜ばれる物と、遺していて欲しくないものがあるのではないでしょうか。

また、何が遺されているのか遺された家族にとってはわからないときがあります。

生きている間に、一つずつ整理しておくこと、これも終活のひとつになります。

まず、遺しているものをどう伝えるのか。

方法としてはいくつかあります。

Ⅰ直接言葉で伝える

これはもっとも簡単な手段かもしれませんが、意外に難しいことでもあります。自分が死んでからのことを生前中から口に出したがらない、考えないようにしている、あるいは家族の方が聞きたがらないなど、コミュニケーションがしっかりとれた家族でないと、自分が死んだらこれを遺している、などの会話がとれないまま死を迎えることも珍しくはありません。

また、遺す物に分配が生じるケースになると、発言が証拠として残らないため、もめ事の原因になる場合もみられるようです。

Ⅱ遺言書を遺す

近年ではエンディングノートを遺す人も増えて来ていますが、

特にかしこまらず、遺したい言葉、遺したいことなどをノートに書き留めておくだけでもよいと思います。

しかし、そのノートが遺される家族に渡らないあるいは見てくれなかったら意味がありません。

法律上正式な書き方はありませんが、遺された家族が見てわかるように、表紙に「遺言」や「遺言ノート」などと書いておけばよいでしょう。また、ご自身の署名、作成日、押印も忘れないようにしましょう。

そして、家族にノートのことを伝えておくことは必要だと思います。

また、法的効力のある遺言書を遺すことは、自分自身も遺された家族にとっても安心が生まれることがあります。

遺言書にはいくつかパターンがありますので事前に確認しておくといいでしょう。

ちなみに種類としては、自筆証書遺言・公正証書遺言・秘密証書遺言・一般危急時遺言・難船危急時遺言・一般隔絶地遺言・船舶隔絶地遺言があります。

もっとも多く遺されている遺言書では、自筆証書遺言になります。

書き方としては、すべて自筆で、ペンで書いて下さい。作成日、ご自身の氏名を必ず記載し押印しておきましょう。

より確かな遺言を遺したい場合は公正証書を作成するのがよいと思います。

公証人役場で公証人に作成を御願いするもので費用もかかりますが、安心度は高くなると思われます。

Ⅲ映像を遺す

遺される家族のために映像で想いや言葉を遺す方法もあります。

これは、遺される家族においても、大事なことだと思います。故人の顔を思い出すとき写真をみますが、

故人の声を聞いたいとき映像が遺っていると声を聴くことができます。

遺された家族にとってはとても大切な遺産になると思います。

⑤遺さないということも大事(生前整理)

家族と離れて生活し終焉を迎えた場合、故人の家を家族が片付けることになりますが、その際に大量に物が溢れていると

遺された家族は、何日も片付けに時間を費やしたり、業者に遺品整理を頼み高額な金額が掛かったりと、遺された家族に迷惑をかけてしまうことも少なくありません。

元気な内から、必要な物、必要でないものを仕分けしていき、必要でない物から少しずつでもよいので処分していくようにしましょう。

本当に家族に遺してあげたいもの、それだけを遺す。これがあくまで理想なのでしょうが。

 ⑥伝えておきたいことの整理

もし、自分が死んだらこうして欲しいということを財産分与以外のことでも遺すことは良いことだと思います。

やはり、自分が死んでからのこと、となるとまずはお葬式のことでしょうか。

お葬式はこうして欲しいと自分の意思を家族に伝えおくことも終活の一つです。

まずは、死んでからお葬式が終わるまでの流れを知っておく必要があります。

ここで、一連の流れをご紹介しますので自分にあてはめて考えてみてはいかがでしょうか?

Ⅰ臨終

臨終を迎える場所は、さまざまです。最も多いのは病院でしょうか、他にも自宅で最後を迎えたいと思う方もいれば、

施設で最後を迎える方、事件事故自殺で外で最後を迎える方本当にさまざまです。

とりあえず、最も多い病院で考えていきます。

病院で、死を迎えると看護師によりエンゼルケアや清拭が施されます。

そして、担当医師により死亡診断書が作成されます。

法律上死というものを認める書類といえばよいでしょうか。死因などが書かれています。

Ⅱ搬送

病院は死亡すると、病室から霊安室へ遺体を移動します。もちろん霊安室がある病院に限りますが。

死亡するとそのまま病院にいるわけにはいきません。ですので遺族は、遺体を連れて帰ることになります。

そこで、遺体を連れて帰るにあたり、遺体搬送業者あるいは葬儀社に搬送の依頼をします。

依頼した際、業者から聞かれることは、故人の名前・住所・性別・年齢・迎え先・搬送先・連絡者の名前・住所・連絡先・故人との関係・迎えに行く時間・現在の状況などを聞かれます。

業者が迎えに来ると、業者は遺族に対し、死亡診断書を持っているかの確認と、

どこに連れて行くのかを再度聞いてきます。ですので、あらかじめどこに連れて行くか決めておく必要があります。

以前は、自宅やお寺、公民館などに連れて帰ることもありましたが、現在ではほとんどが葬儀社が持つ安置所に搬送します。

搬送すると安置し、遺体が痛まないようにドライアイスや保冷剤など当てます。

そしてここからが、葬儀社とお葬式をどのように進めていくか、準備していくかの打ち合わせになっていきます。

Ⅲ打ち合わせ

打ち合わせを行っていく際に、遺族や親族みんなの意見を聞きながら打ち合わせをしていきたい気持ちはあると思いますが、みんなから意見を聞いて一つにお葬式の形を決めていくのは難しい話です。ですので、故人のお葬式をどのようにするのか決定する方を代表して決めるようにしましょう。それがいわゆる喪主と言われます。一般的に、喪主になる方は、故人の配偶者や長男の方がなる場合が多いです。また、お葬式には葬儀社に対し支払う代金が発生します。その代金を支払う方を施主と言います。一般葬では、喪主と施主が同一人物であることがほとんどですが、社葬や団体葬などでは、喪主が遺族で、施主は会社の社長だったりするケースもあります。喪主が決まると、打ち合わせを進めていくようになりますが、やはり故人とどのような形で、お別れをするのか、故人の魂をどのように弔うのかを決める必要があると思います。

最近では、故人とのお別れだけをするということで、お別れ会のみを開く方もいますが、故人の魂を弔ってからお別れをするという考えは今なお残っています。 そこで、弔い方として、故人が何を信仰していたのか、または送る方がどのように信仰しているのかで、葬儀の形が決まってきます。今なお日本の葬儀といえば、仏教での葬儀が多いようです。そこで、仏教の教えに則り葬儀を行うと決まれば、仏教の弔いの仕方や準備となるわけです。

注意しないといけないのは、弔い方は何を信仰していたかで、考え方も祭り方も全く違います。また、たとえ仏教といえど宗旨で考え方が全く違う場合もあります、ですので自分の信仰宗教の考え方や、祭り方を強要しないことです。故人にとってどのような形が一番いいのか考えて決定するようにしましょう。

ここからは、仏教で葬儀を進めると仮定して、ひとつの流れを紹介したいと思います。

仏教で、故人を弔い故人とお別れをするとなれば、まずは導師を決定しないといけません。ようするに葬儀の供養を誰に頼むかになっていきます。もちろん故人がどこかの寺院の檀家になっており、菩提寺があるのであれば、その寺院に連絡するようにします。全く付き合いがないのであれば、葬儀社に紹介してもらうこともできます。最近では、随分ながれも変わりましたし、地方によっても流れが違いますので、その地やその寺院の考え方をしっかり確認しながらが良いとは思います。以前の流れを紹介させていただくのであれば、まずは菩提寺に連絡をし、枕経に来てもらうようにします。真夜中だろうがよいという寺院もあれば、翌朝が良いという場合もあります。枕経にさえ来ない寺院もありますので、お尋ねが必要です。枕経に来ていただき、枕経を読経していただいたら、喪主と寺院と葬儀社で、葬儀の日程と会場を決定します。日程では、遺族や親族の意見も聞いた方が良い場合もあります。しかし、遺族や親族の都合ばかりで日程を決めてしまいその日程に導師が来れなかったらどうしようもありません、そこで、ある程度の希望を導師に提案し、導師がその日程で都合があえばその日程で決定で良いと思います。会場に関しては、どのくらいの広さがあれば良いのかわからないことが多いですが、故人の付き合いがどの程度合ったのか、またどの程度知らせるのかを考えるとともに、遺族・親族の知り合いやお付き合いがある方に、どの程度連絡するのかを決め、そこからどのくらいの方が来られるのかをあくまで想像になる事はやもえないですが一通り予測をたて会場の広さを決定します。

最近では、近所の方には知らせない。遺族や親族の知り合いなどには伝えない、または伝えても内々でしますのでと、会葬を拒否し、密葬や家族葬でするという方も多く、そのような方は、遺族や親族の人数を数え何人いるかで会場を決定して良いと思います。

喪主を誰にし、どのような形で弔い、導師は誰に頼み、日程をいつにし、会場を決めれば、あとは葬儀の際に利用する備品や飾りを決めるようになります。

決めていく物とすると、祭壇・祭壇花・盛り物・棺・骨壺など意外にたくさん決定をしいられるものがあります。

次に、御遺影にする写真を用意してくださいと言われます。家族は意外に悩む方がいますので事前に準備しておいたらいいと思います。次に、霊柩車・マイクロバスなどを決め、次に食事の注文も行います。

次に、会葬者に対しての、会葬礼状の作成や、会葬品・香典返しを決定します。もちろん受付には誰が立つのかも決めないといけません。

故人の死を悼み、悲しみに耽っている時間が無いくらい葬儀社にその場での決定を強いられますので、

葬儀には何が必要で、何を決めないといけないのか事前に心構えしておくのとしておかないのとでは本当に違いますので、

事前に前知識を勉強しておいた方がいいと思います。

Ⅳお通夜・葬儀

葬儀社は、準備に入るにおいて準備するものを決定してもらわなければ、準備に入れないことと、勝手にはものを用意できないので、悲しみに耽っている状態とわかっていながらも打ち合わせをどんどん進めていきます。遺族としては、こんなときに考えられないと思ってしまうのですが、それが葬儀をおこなうということなのかもしれません。

準備するものが全て決定すると、準備が始まります、会場の設営や、供花の用意、食事の用意、会葬礼状・会葬品の用意などがされていき、遺族としては納棺を行います。

故人は旅立つという考えがありますので、旅支度ともいいますが、故人をお旅立ちの姿にし、死化粧を行います。

そして、なるべく遺族の皆さんでお手を添え棺の中に納棺してほしいと思います。

会場の準備、納棺、受付の準備が終わりましたら、お通夜の時間になります。

お通夜の最後に喪主挨拶がありますので、喪主は一言挨拶をおこないます。

以前は、お通夜に喪主挨拶はなかったのですが、最近ではお通夜かお葬儀のどちらかにしか参列されないことが多くなってきましたので、お通夜とお葬儀と両方で喪主挨拶を行うことが多くなりました。

葬儀では、遺族から故人へのお別れの言葉や、会葬者から故人への弔辞があげられることもありますので、事前に確認しておくとよいでしょう。

葬儀が終わると火葬場へと向かいます。仏教では荼毘に付せるといいますが、火葬を行い、収骨をし、自宅へ帰ります。

地域によっては、三日参りがあったり、その日に初七日法要を行ったり、精進上げをしたり、還骨回向をおこなったり、本当に地域でのしきたりや、信仰の違いで行うことも違いますので、葬儀社の方に聞きながら行うとよいでしょう。

しかし、葬儀社の方の言われるとおりばかりに行い、葬儀が流れ作業のようにだけはならないように、ことが進む中でも故人を弔う気持ちや偲ぶ気持ち、あるいは故人と過ごす最後の時間を大切にしましょう。

葬儀が終わり、故人とちゃんとお別れができたと思えたらいいですね。

葬儀が終わるまでの流れはあくまで一般的ですがこのように進みます。

⑦最後に

終活とは「どのように生き」「どのように伝え」「どのように遺すか」だと思います。

決して決められた形はないと思います。

あなたのことを想う人がいる。あなたも想う人がいる。その気持ちを大切にすることが終活だと思います。

少しずつ、形にしてみてはいかがでしょうか。